リエゾングループ
精神科リエゾングループでは、院内の各診療科からの依頼に対応し、適時診療を行っています。一般的なリエゾンの依頼件数はコロナ禍により減少しましたが、年間で約500件の依頼を受けています。依頼内容で最も多いのはせん妄であり、術後せん妄やICU入院中のせん妄にとどまらず、長時間にわたる侵襲性の高い手術に対しては、術前からせん妄予防に取り組んでいます。
そのほかにも、他科に入院中の精神疾患を合併した患者への対応や、救急科と連携した自殺企図患者の診察および介入も行っています。チーム医療の一環として、2016年に精神科リエゾンチームを発足させ、医師だけでなく、看護師、心理士、精神保健福祉士を含む多職種による定期的なカンファレンスや回診を実施しています。これにより、若手医師や他科の医療従事者に対して評価や助言、後方支援を行っています。
また、緩和ケアチームにおいては、がん患者に限らず心不全をはじめとした非がん患者も対象とし、精神症状の評価や薬剤調整に関する助言を行っています。精神疾患を合併する妊娠においては、家族サポートチーム(FAST)において産科医、小児科医、助産師、保健師と連携し、評価および助言を行っています。
さらに、先端医療に伴う倫理的な問題や精神医学的観点に基づく予後評価、意思決定支援に関連した診療として、臓器移植に伴う心理社会的アセスメントや、脳深部刺激(DBS)の術前・術後における精神医学的評価、肥満症の術前精神医学的評価なども行っています。このような活動を通じて、高度な精神科医療を提供するだけでなく、質の高い研修および教育の場ともなっています。