ご挨拶

精神科神経科 教授
久住 一郎(くすみ いちろう)

21世紀に入り、世の中の変化のスピードはますます速くなり、私たちの脳(こころ)が対応できる処理能力を既に超えていると言われています。そんな中、ストレスに曝されてこころの不調を訴える方々がますます増え続けています。ストレスによる不調は必ずしも精神的な側面だけではなく、身体面の不調として現れることもしばしばです。そのような心身の不調を的確に診断して、適切に治療することが精神科神経科の役割です。

精神科神経科は、精神科各領域で全国トップレベルの治療水準をもつ医師グループが熱意と優しさをもって日夜治療にあたっています。統合失調症、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、摂食障害、社交不安障害、てんかんなどの疾患の診断と治療は全国に誇れるレベルにあると自負しております。セカンドオピニオン外来も行っておりますので、現在医療機関で治療を受けておられる方につきましても、主治医とご相談の上、利用していただければ幸いです。

大学病院であるという性質上、医学生やメディカルスタッフ学生、研修医の実習教育も併せて行っていることをあらかじめご了承下さい。実習教育は、教科書などで系統的に学習した知識を実践の場で応用するためのステップとして大変重要です。最高レベルの診断と治療を学生や研修医に目の当たりに体験させることは、医療者の育成のために最高の教育機会となります。

私たちは北大精神科神経科において最高の診療、最高の教育ができることを誇りに思っていますし、そのことによって質の高い、素晴らしいメディカルスタッフや医師が育ち、北海道内ひいては日本の精神科医療のレベルアップに貢献し、精神障害に苦しむ多くの方々の回復に還元されることを確信しております。

 
児童思春期精神医学講座 特任教授
齊藤 卓弥(さいとう たくや)

わが国を含む先進諸国では,子どものこころの問題が大きな社会問題となってきています。不登校、いじめ、自殺、児童虐待、引きこもりといった問題への社会的な関心が高まっています。このように注目される問題の背後には、うつ病、不安障害、注意欠如多動性障害、広汎性発達障害など医学的に治療が必要と考えられる子どもが数多くいるといわれています。いまだ、子どものこころの問題への誤解や理解不足によっ て、本来支援を受けるべき子どもたちが支援を受けることを躊躇し、事実に基づいた治療を受けることができない状況は、大きな問題です。世界保健機構(WHO)は、将来子どもの疾患の中で精神疾患がもっとも医療資源を必要する疾患となると予想しています。

現在、日本では子どものこころの問題に関わる資源は少なく、十分な治療・介入が行われておりません。そのような社会的な要請を背景に、医学ならびに医療における児童思春期精神医学の重要性がますます高まってきていると考えます。社会的にも子どものこころの問題への注目が高まり、子どもの精神科医療は大きな転換期を迎えています。医療・家庭(社会)・学校・心理・福祉・司法が、それぞれ連携し、子どもへの包括的・有機的な介入・支援が必要になってきています。そのためには、子どもの精神科医療にかかわる人材の養成が不可欠と考えられます。

北海道大学思春期医学講座は、そのような社会的な要請を受け、包括的な児童思春期精神科医療を行うとともに、将来の日本の児童思春期精神科医療を担う人材を養成するために設立されました。当講座は、Global standardに基づいた心理・精神的、社会的そして生物学的な評価・診断、症例のformulation、エビデンスに基づいた治療を行うことのできる子どものこころの臨床家を養成することを目的としています。そのために、基礎的および 臨床的な研究を行い、子どものこころの問題を理解することを、いま1つの重要な使命と考えています。

今後、我が国の児童思春期精神科医療を充実していくために、そのような使命を共有できる情熱を持った若い力が当講座に加わってくれることを心から願っております。

児童思春期精神医学講座ホームページ≫

プロフィール
略歴:
1984年北海道大学医学部卒業
1993年医学博士取得
北海道大学医学部助手

1994~95年カナダ・トロント大学留学
1999年
北海道大学病院講師
2008年
北海道大学医学部准教授
2012年
教授
 
資格・専門医など:
精神保健指定医
日本精神神経学会指導医・専門医
日本医師会認定産業医
 
学会役員など:
日本精神神経学会 代議員(元理事長)
日本統合失調症学会 理事
日本心身医学会 理事
日本神経精神薬理学会 評議員
日本生物学的精神医学会 理事
日本臨床精神神経薬理学会 理事
日本うつ病学会 評議員
日本神経化学会 評議員 など
 
専門:
統合失調症、気分障害。最近では特に、治療抵抗性統合失調症の薬物療法や新規治療薬の開発、抗精神病薬による体重増加・糖脂質代謝障害の予防・対策に力を入れています。
 
プロフィール
略歴:
1987年日本医科大学 卒業
1992年日本医科大学神経科医員助手
1992年コーネル医科大学精神科
ニューヨーク病院留学
1993~00年アルバート・アインシュタイン医科大学
1999年医学博士取得
日本医科大学
2000年アルバート・アインシュタイン医科大学精神科助教授
2005年日本医科大学精神医学教室准教授
2014年北海道大学医学部 児童思春期精神医学講座 特任教授
 
資格・専門医など:
精神保健指定医
米国精神科専門医
日本精神神経学会専門医・指導医
 
学会役員など:
日本総合病院精神医学会評議委員
日本医学英語教育学会評議委員
日本サイコセラピー学会理事
日本児童青年期精神医学会評議員
日本ADHD学会常任理事 など
 
専門:
児童思春期精神医学