司法精神医学グループ

メンバー(令和5年度)

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研究内容(令和4年度)

令和3年度、新たに立ち上げられた司法精神医学グループであるが、令和4年4月に北海道大学病院附属司法精神医療センターが開院し、本格的に活動が始まった。三井(精神科神経科病棟医長)と髙信(司法精神医療センター副センター長)、賀古(司法精神医療センター長)の3人に、令和4年4月からは大学院生(医員)として司法精神医療センターに勤務する直江が加わった。

賀古は、司法精神医療センター長として医療観察法病棟の立ち上げに奔走しつつ、司法精神医療センターの運営状況に関する講演を多数行った。第18回日本司法精神医学会大会のシンポジウム「医療観察法とトラウマインフォームドケア」において「刑法39条事件の被害者・遺族支援について」を講演し、第41回日本社会精神医学会において「医療観察法指定入院医療機関の未整備が地域に及ぼす影響」を発表した。また、重度精神疾患標準的治療法確立事業(通称、医療観察法データベース事業)の運営委員会ワーキンググループメンバー、さらに医療の改善を目的とした特別ワーキンググループのメンバー、厚生労働科学研究費補助金による医療観察法における専門的医療の向上と普及に資する研究(平林班)のメンバー、医療観察法鑑定書の作成方法に関する研究(岡田班)のメンバーを担当した。

髙信は、司法精神医療センターでの診療に従事する傍らで、医療観察法指定入院医療機関および同指定通院医療機関におけるクロザピンの使用状況に関する調査研究の計画に着手している。また、本院精神科で経験した好中球数低値の治療抵抗性統合失調症症例へのクロザピン導入のための治療戦略について検討した症例報告がBMJ case reports誌に掲載された。本院で行っていた自殺予防に関する研究も継続しており、本院における入院患者に対し実施した自殺リスクアセスメントシートを用いた自殺リスク評価と入院中の自殺企図発生に関するデータの解析を進めるとともに、同シートを用いた研究を司法精神医療センターでも実施することを計画している。

直江は、大学院博士課程1年目として触法精神障害者に対する薬物療法の有効性に関する研究をテーマに、多施設共同研究を計画している。

グループとして精神鑑定により一層力を入れ始めており、賀古は公判鑑定1件、起訴前本鑑定2件、起訴前簡易鑑定4件を行い、三井は公判鑑定1件、髙信は起訴前本鑑定2件、起訴前簡易鑑定5件を行った。令和4年度に開始予定であった法曹三者をまじえた精神鑑定の研究会は新型コロナウイルスの影響で保留されているが、令和5年度には開始する予定で準備している。

令和5年度は司法精神医療センターでの臨床実践について発信していきたいと考えている。

(文責:賀古 勇輝)