お知らせ
Psychiatry and Clinical Neurosciences Reports 症例報告の発表のご報告(博士課程 篠原陸斗先生)
2025年07月07日
当科同門の篠原陸斗先生(博士課程)が、北海道医療センター精神科所属時に作成した症例報告が公開されました
症例報告「Successful treatment with lithium carbonate for periodic psychosis of adolescence」が、Psychiatry and Clinical Neurosciences Reportsに掲載されました。
DOI: 10.1002/pcn5.70133
(紹介文)
Periodic Psychosis of Adolescence(若年周期精神病)は、山下格先生によって提唱された疾患概念であり、10代前半の女性に好発し、月経周期に一致して短期間の多彩な精神症状を反復する稀な病態です。今回、初回エピソード精神病のため入院加療を要し、経過中に精神症状と月経周期の関連性が明らかとなり若年周期精神病と診断し、炭酸リチウムの導入により病相の反復を防ぐことができた14歳女性の症例を経験しました。
近年、欧米では類似した疾患群を指すものとして、Ian BrockingtonによってまとめられたMenstrual Psychosis(月経精神病)が広く受け入れられています。しかし、若年周期精神病は、より狭義の疾患概念であり、治療や予後に関しても、月経精神病よりも均一な特徴を持つため、依然として若年周期精神病の診断意義は大きいと感じております。
本症例の診療および論文作成にあたり、岡本病院の井上佳祐先生、北海道医療センター精神科の髙柳瞬先生、古髙陽一先生、渡辺晋也先生に献身的なご指導・ご支援を賜りましたことに深く感謝申し上げます。